リアプノフ指数(Lyapunov exponent)
リアプノフ指数とは,力学系において接近した軌道が離れていく度合いを表す量を表します.
1次元写像に関して,この値は非常に簡単に求めることが出来ます.
具体的な式は以下の通り.
例:
テント写像
テント写像T(x)は以下で定義されます.
パラメータaを0から2まで変化させたときのリアプノフ指数を計算してみます.
Fig.1
0≦a<1 ⇒ λ>0
1≦a≦2 ⇒ λ<0
となっている所がポイントです.
ここで,テント写像の分岐図を見てみましょう.
Fig.2
分岐図からは,a>1のとき,カオスになっていることが分かります.
これより,(強引だけど)λ>0の時,写像はカオス性を持つと予想出来ます.
ロジスティック写像
ロジスティック写像L(x)=ax(1-x)において,aを変化させた時のリアプノフ指数を求めてみます.
Fig.3 0≦a≦4
3.5≦a≦4が特にゴチャゴチャしているので,拡大してみます.
Fig.4 3.5≦a≦4
所々λ<0となっています.
さて,ロジスティック写像の分岐図はFig.5です.
Fig.5
これらを比較してみると,λ<0の時,分岐図はカオスではありません,ある周期の周期軌道に落ち込んでいます.
そんなわけで,リアプノフ指数は写像がカオス性を持つかどうかを判断するのに非常に役立つといえるでしょう.
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