セルオートマトンで有名なのは,ライフゲーム(Game of Life)ですが,今回は違います.
1次元セルオートマトン(Cellular automaton)
1次元セルオートマトンは,最もシンプルなセルオートマトンです.
セルは1次元に並んでいて,あるセルに2つのセルが隣接しています.
また,セルの種類は“0”,“1”の2つのみです.ここでは0を□,1を■とします.
□■□■■■□□
例えばある時刻tでは,こんな感じ.
そして,
akt+1=f(ak-1t, akt, ak+1t)
という式により,セルを更新します.
aktは時刻tにおける,k番目のセルの状態であり,
ak-1tはその左隣,
ak+1tはその右隣
を表します.
つまり,時刻t+1(次の時刻)のセルの状態は,時刻t(現在)のセルとその両脇のセルの状態によって決まるわけです.
更新に使うfは例えば下のようなものです.
時刻tでの状態 (ak-1t, akt, ak+1t) | (1, 1, 1) | (1, 1, 0) | (1, 0, 1) | (1, 0, 0) | (0, 1, 1) | (0, 1, 0) | (0, 0, 1) | (0, 0, 0) |
時刻t+1での状態 akt+1=f(ak-1t, akt, ak+1t) | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 |
同じですが以下のようにも書けます.
時刻tでの状態(左,中央,右) | ■■■ | ■■□ | ■□■ | ■□□ | □■■ | □■□ | □□■ | □□□ |
時刻t+1での状態(中央) | □ | □ | □ | ■ | ■ | ■ | ■ | □ |
このような“ルール”を各セルに適用します.
例:
□■□■■■□□
とりあえず,両端は考えない事にします.その内側のみを更新します.
□■□ → ■
■□■ → □
□■■ → ■
■■■ → □
■■□ → □
■□□ → ■
なので,
□■□■□□■□
となります.
これを繰り返していくだけです.
この“ルール”の数は,
左,中央,右の3セルが作る状態数=8,
1つの状態に対する,次のセルの状態数=2,
であるので,
28=256通りとなります.
具体的には,
時刻tでの状態 | ■■■ | ■■□ | ■□■ | ■□□ | □■■ | □■□ | □□■ | □□□ |
ルール0 | □ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | □ |
ルール1 | □ | □ | □ | □ | □ | □ | □ | ■ |
ルール2 | □ | □ | □ | □ | □ | □ | ■ | □ |
ルール3 | □ | □ | □ | □ | □ | □ | ■ | ■ |
… | ||||||||
ルール252 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | □ | □ |
ルール253 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | □ | ■ |
ルール254 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | □ |
ルール255 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ |
□=0,■=1なので,“ルール30”とかいったら,30を2進数(=00011110)に直せばいいわけです.
以上で,このモデルの説明は終わりです.
さてさて,セルオートマトンは,その振る舞いから,以下の4クラスに分類されます.
クラス1 - セル全体が同じ状態になり,変化しなくなる.:秩序状態
クラス2 - セルの時間発展につれ,最終的に周期的な変化になる.:秩序状態
クラス3 - セル全体がランダムな変化を続ける.:カオス状態
クラス4 - 規則的なパターンとランダムなパターンが共存し,複雑なパターンを形成する.
クラス1,2は単純過ぎ(簡単に予測できる),クラス3はカオス過ぎ,クラス4が丁度良い,つまり,現実世界で起こる現象に近いのではないか,と考えられたみたいです.
というわけで,全ルールを(出来れば)紹介していきます.
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